「レスポンシブデザインのブレークポイントって、どうやって決めればいいんだろう?」
制作の現場で実際にデザインを組んでみて、「端末ごとに崩れないレイアウト」って意外と難しいな…と感じることがありました。 特に初めてレスポンシブ対応をしたとき、メディアクエリで指定するpxの数字を「なんとなく」で決めていたんですが、「これって本当に合ってるのかな?」って不安になることが多くて。
実際に何ページか組んでいく中で、見た目が崩れるタイミングや使っている端末によって見え方が変わることを経験して、「あ、これがブレークポイントを考えるってことなんだな」と少しずつ分かってきました。
この記事では、そんな私が実務の中で感じた疑問や気づきをもとに、「レスポンシブデザインにおけるブレークポイントの考え方」や「基準値の決め方」についてまとめています。
同じように駆け出しデザイナーさんや初心者デザイナーさんのヒントになればうれしいです!
ブレークポイントとは?
ブレークポイントとは、画面幅に応じてレイアウトやスタイルを切り替える境界幅です。目的は全幅で見た目を同一にすることではなく、読みやすさ・操作しやすさを保つことです。したがって値は固定ではなく、コンテンツの崩れが初めて発生する幅(=閾値)に合わせて設定します。
💡用語メモ:閾値=不具合や違和感が“初めて”発生する境目。
ブレークポイントはどうやって決める?
ターゲットユーザーの利用端末を意識する
最初に幅の分布を把握します(GA4 など)。主流の帯を押さえるとムダなクエリを減らせます。初期の帯分けは次が扱いやすいです。最初に「どの幅で閲覧されているか」を数字で確認します。目的は、よく使われる幅帯(近い幅をまとめたレンジ)を先に押さえ、ムダなメディアクエリを増やさないことです。
- 360–375(小型スマホ)/390–414(標準スマホ)/428(大型スマホ)
- 600–768(タブレット縦〜横の境)/768–1023(タブレット横)
- 1024+(PC)
この段階は「仮説」です。次の工程で実ページの崩れ閾値と突き合わせます。
💡用語メモ:ビューポート=ブラウザで実際にページが表示される領域。
レイアウトが崩れるタイミングを見つける
実際に自分のページをブラウザで開き、画面の幅を少しずつ縮めたり広げたりしてみましょう。
そのときに「見づらくなった!」と感じる瞬間が、ブレークポイントを入れる目安になります。たとえば——
- 1行の文字数が多すぎたり少なすぎて、読みづらい
- カードやグリッドの並びが急に崩れて、不自然に見える
- 画像と文章が重なったり、隙間が空きすぎてバランスが悪い
- ナビゲーションメニューが2段になってしまい、探しにくい
こうした「崩れ」が起きた幅をメモし、その前後の数pxでも同じ症状が出るかを確認します。
最終的には、その中から2〜4本くらいの重要な幅に絞り込んで設定するのが、シンプルで管理しやすいやり方です。
よく使われるブレークポイント一覧
スマホ・タブレット・PCごとの目安
レスポンシブデザインを作るときは、最初に「おおまかな幅の帯」を知っておくと設計がスムーズです。
下の表は、代表的なブレークポイントの例です。ここから始めて、自分のページを見ながら調整していくと無理がありません。

💡用語メモ:CSSピクセル=ブラウザがレイアウトを計算する単位。物理的な画面のピクセル数とは違い、端末ごとに調整されています。
💡用語メモ:幅帯(はばたい)=画面幅をある程度の区間(レンジ)でまとめたもの。例:360〜414pxを「スマホ帯」と呼ぶ。端末ごとの細かい違いをまとめ、S・M・Lサイズのように整理する考え方です。
iPhoneの代表的な画面幅
特にシェアの高い iPhone は、モデルごとに幅が違います。代表的なサイズをまとめました。

💡用語メモ:ビューポート=Webページが実際に表示される領域。メディアクエリで判定されるのはこの幅です。
Androidの代表的な画面幅

iPadの代表的な画面幅

PCの代表的な画面幅
ブレークポイントを見つける便利機能(検証ツール)
Google Chrome には、スマホやタブレットの画面幅をシミュレーションできる、「DevTools(開発者ツール)」という便利な機能があります。
DevTools(デベロッパーツール)の開き方
- Chromeで確認したいページを開く
- ページ上で右クリック → 「検証」 をクリック
または、キーボードの F12(Windows) / ⌥ Option + ⌘ Command + I(Mac)を押す - 画面右(または下)に「開発者ツール」が表示されます
デバイスモードの使い方
- DevToolsの左上にある 📱スマホとタブレットのアイコン をクリック
- ページがスマホ表示に切り替わり、上部に「Responsive / iPhone / Pixel…」などのリストが出ます
- ここから端末を選ぶと、画面サイズ(CSSピクセル)が自動で反映されます
📌 注意点
検証ツールで表示される幅はあくまで「参考値」なので、検証ツールで確認しつつ、実機でも必ずチェックするのがおすすめです。
初心者が陥りやすいミスと回避策 5選
①数字を“正解”だと思い込む(768px /1024px など)
「有名な数値(768px、1024px など)=どんなサイトにも最適」と思い込み、ページごとの崩れ方を見ずに決めてしまうミスです。
②ブレークポイントを増やしすぎる
小さな違和感のたびに @media
を足し続けると、雪だるま式に増えて保守が破綻します。
ブレークポイントの数は少ないほど読みやすく、矛盾も起きにくいです。
③max-width と min-width が混在する
PCファーストとモバイルファーストが混ざると、どれが最後に効くか読めず、予期しない崩れにつながります。
プロジェクト内では必ず“どちらか”に統一します。
スマホ基準でコードを書くなら → min-width/PC基準でコードを書くなら → max-width。
💡用語メモ
max-width=「○○px 以下 で適用」
例)@media (max-width: 600px) { … }
→ 600px以下で適用。min-width=「○○px 以上 で適用」
例)@media (min-width: 1024px) { … }
→ 1024px以上で適用。
④文字サイズ・余白を固定してしまう
幅が変わっても文字や余白が追従せず、読みにくさを招くミスです。
回避策:clamp()
でなめらかに変化。節目だけメディアクエリで微調整。
💡clamp () の考え方
一言でいうと
clamp(最小値, 理想値, 最大値)
= 画面幅に合わせてなめらかに変化させつつ、下限と上限を超えないように固定する関数です。
最小値:これより小さくならない「安全ライン」(スマホでも読めるサイズ)理想値:
vw
を含む“伸び縮みする式”(例:2vw + 1rem
)最大値:これ以上大きくならない「上限ライン」(PCで大きくなりすぎ防止)
文字サイズ、余白、要素幅の指定によく使用されます。
⑤ディベロッパーツール だけで完結させる
DevToolsは便利ですが、指のタップ感/フォントのにじみ/アドレスバーの出入りなど、実機でしか分からない差があります。最後は実機でのチェックをおすすめします。
まとめ
レスポンシブデザインのブレークポイントは「768pxや1024px」といった有名な数字が正解ではなく、あくまで自分のサイトでレイアウトが崩れる瞬間=閾値を基準に決めるのが大切です。まずはターゲットユーザーが利用している端末幅を把握し、360〜414px(スマホ)、768px前後(タブレット)、1024px以上(PC)といった大まかな幅帯を目安に仮設定します。その上で実際に画面幅を縮めたり広げたりして「文字が読みにくい」「カードが崩れる」といった違和感が出たタイミングを確認し、重要な幅を2〜4本に絞って設定すると管理がシンプルになります。Chrome DevToolsで確認できるものの、最終的には実機でのチェックも欠かせません。数字を鵜呑みにせず、ブレークポイントを増やしすぎない、max-width
と min-width
を混在させない、文字や余白は clamp()
で柔軟に調整する、といった工夫を意識すれば、読みやすく保守しやすいレスポンシブデザインが実現できます。
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